Research Engineer
Joined in 2014
私は大学で素粒子に関する研究(実験物理)をしていました。原子力発電所の近くに自作のニュートリノ検出器を設置して、発電所から出てくる素粒子を検出するといった内容でした(研究途中に3.11が起きて原発が稼働停止してしまい、最終的には別のテーマで博士論文を出す事になってしまいましたが…)。ただ元々コンピュータには興味がありました。小学生時代に電子工作に目覚め、中学生時代には家電量販店でマザーボードやCPUを買い集めてPCを自作していました(フライトシミュレーターのPCゲームがやりたくて)。学業以外ではたまにGoogle Code Jamに出場したりもしていました。当時はC++とPythonをメインで使っていましたが、使用言語は今でもほとんど同じです。入社時には機械学習の経験はありませんでした。
大学院を卒業しても、研究者として研究を継続するという選択肢もありましたが、311の影響や研究テーマの状況等も鑑み、民間企業に就職することに決めました。ただ当時は博士課程の学生は即戦力扱いというケースが多く、門戸が狭かった記憶があります。そんな中モルフォは、業務に直接的に関係する専門的な知識は入社後に勉強すれば良いということで、新卒として受け入れてくれるという事もあり、応募しました。311の影響で研究テーマを変えた事により、大学院の修了時期が予定より1年遅れてしまったのですが、その1年間入社を待ってもらえた事はありがたかったです。
私は2014年春に新卒入社しましたが、その年の冬に初めてDeep Learningに触れて以来、一貫してAI系の研究開発を担当しています。最近は社内および顧客向けのDeep Learning学習プラットフォームを開発しています。この開発の目的は、TensorflowやPytorch等オープンソースのフレームワークは幾つかありますが、モルフォのプロダクト向けに最適化・汎用化したものにする事で利便性を高めるという点にあります。他にもプロジェクトを掛け持ちしていて、自動運転に関する共同研究開発プロジェクトにはキックオフ時から一貫して携わっています。
大学の経験で活かせている事としては、プログラミングの観点では前述の通りC++、Pythonを触っていましたので、やっておいて良かったと思います。また仮説検証の一連の流れ(やりたい事を決め、調査し、論文にまとめる)も、仕事で役立っているのではないかと思います。あと仕事柄、数学を日常的に使いますが、物理で用いる数学に比べたら機械学習で用いるものはそこまで難しく無い(事が多い)ので分野として抵抗感が少ないかなと個人的には思っています。
モルフォでは顧客のどんな課題をどう解決できるか、という視点を重視しています。また原理の探究や数十年先のニーズというわけではなく、1年~2年程度先のニーズにフォーカスしている事や、新規性よりも実用性を重視する等の特徴があります。そんな環境下でパフォーマンスを発揮し続けるために必要な事は、とにかく勉強をし続ける事に尽きるかと思います。特に忙しい時は過去の経験の蓄積を用いて物事を解決してしまいがちですが、これでは進歩がありませんから。アンラーニングと言いますか、外部の知見を常に取り入れ続ける事。これが大切なのではないかなと思います。逆に言うと、入社時点で「このスキルセットがないといけない」という事はありません。色んな事に好奇心を持てる方にとって、とても良い環境だと思います。